「蘭香ちゃーん!あーそぼー!!」

「拓海くん!」

「一緒に遊ぼ?」

「うん!いいよっ!!」

「じゃ、今日は公園に行こうよ!」

「うん。ボール持っていく!」

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「…様…蘭華様…」

「…た…み…くっ」

「蘭華様?…蘭華様、起きてください。」

「んぅ…?……藤ヶ谷。」

「おはようございます。蘭華様。」

目を開けるとそこには、メイドの藤ヶ谷がいた。

あぁ、今日も笑顔が爽やかで可愛いなぁ。
そういえばなんか、懐かしい夢を見た気がしたけど忘れた…。
ま、いっか。
ってか、まだ眠い。

「蘭華様。朝食の準備がもうすぐで出来ますので、支度をなさってからお越し下さい。」

「ん。わかった。」

私が答えると藤ヶ谷は私の部屋から出て行った。

…学校、面倒だな。
サボタージュしてしまおうか。
…ダメだ。
西園寺家の長女がそんなことしたら。
私は、西園寺家の長女なんだ。
日本で一位二位を争う程の企業の家の長女なんだ。
私は…西園寺蘭華じゃない。

西園寺家の長女だ。

「ま、今更どうとも思わんけど。」


私の小さな独り言は静かに消えた。