今年は残暑も軽く早くから冷え込む日が続いて、忘れかけていた持病の痛みがひどく症状を現した。
歩くたびに腰に激痛を感じ、それと共に右足がカクンと力無くヘタリ込むことが度々続いく。
大した病ではない。
そう聞かされてきた。
第五腰椎分離症。
生れつきだった。
成長と共に腰椎の間隔が少しずつ離れていき、その際痛みを生じる場合もあれば、痛みさえ感じなければ分離症に一生気付かない場合もある。
そんな説明を受けたのは三年生が引退し、秋の県大会をキャプテンとしてまた110メートルハードルの優勝候補として調子に乗っていた中学二年生の夏の終わり頃だった。
選手生命を断たれるなんて大層なショックを受けなかったのは、医者のあまり深刻そうではない語り口のせいだけでなく、祥子自身があまり陸上に熱心ではなかったことの方が大きい。
