隼人と出会うまでの自身の異性関係は、ごく標準的な方だと祥子は漠然と思っていた。
誰と比べるわけでもなく。
ただなんとなくだ。
それが隼人とただならぬ関係を持ってからは、自分がどれほど経験の浅い女だったのかと思い知らされた。
小さな四角いベッドの上で隼人と過ごす時間はこれまでに無い体験だった。
隼人と関係を持ったあの日を思い起こしながら、祥子はバスルームへ向かうため躯を起こした。
週末の繁華街で会社の同僚と待ち合わせていたはずのあの日の夜。
何度か顔を見たことがあっただけの隼人と初めて会話らしい言葉を交わしたのだ。それもどこか一風変わった会話だった。
その日、退社時刻ちょうどに同僚三人と急いで会社を後にし、それぞれがめかし込んで夜8時に待ち合わせる予定だった。
比較的空いていた電車の中、その予定のために祥子は揺られていた。
それは大手商社の男性との合コンのために。
その辺のOLと極端に代わり映えすることのない祥子は、ドラマのようにそこで夢のような出会いを期待していた。
