耳障りな音をたてながら、風の噴き出し口がゆっくり開く。
心配した通りに鼻をティッシュのこよりで突かれたようなこそばゆさを感じた。
祥子は起きぬけの大きなくしゃみを一発かますと、続けざまに小さなくしゃみを連発した。
その度に腰に鈍く重たい痛みを感じ、祥子はまたベッドに躯を倒した。
その瞬間、タラリと祥子の躯から隼人が排出した液体が零れる。
夢の中でまで苦悩していたことは少し薄らいでいたが、現実にこうして隼人に関する色んなことを考えると、途轍もなく不安になった。
はっきりと付き合っているのかさえ、互いに確認したこともないまま半年が過ぎていた。
個人開業の割に規模の大きな整形外科のレントゲン技師である隼人が、週のうち半分は祥子のマンションに泊まるようになってからは二ヶ月とちょっと。
好きだとか、愛してるだとか、付き合おうなどと言ってくれた記憶はない。
ただ、祥子になんの了解も得ないまま避妊すらしない隼人の行為と、その行為そのものが愛だと思い込んでしまうほど深く濃いものだった。
