ほねまであいして。

祥子はスクランブルエッグを口にかき込むと、泣きながらバスルームにゆっくり歩いた。
 
 口のなかで卵は祥子の涙味になっていた。
 小さなバスルームの入口に姿見の鏡を貼付けていて、祥子は身に着けているものを鏡の前に脱ぎ捨てる。
 
 
前から見る自分の裸体は嫌いではなかった。
あらゆるパーツがバランスよく配置されていると思っていた。
 
しかし、一旦横を向くと祥子は毎回愕然とする。
 
膨らみのないヒップは垂れているように見えたし、何よりちょうどヒップが膨らみ始める腰の中心辺りにボコッとした出っ張りがあった。
 
 
襟足からヒップラインは滑らかな線でなければならないのに、美しい曲線を屈折させる小さな骨の出っ張り。
 
 
 
『こりゃ滑り症だね。腰椎分離症の痛みを避けるために楽な姿勢をとってきたんじゃないか?滑り骨折しとるな。ズレてる、ズレてる』
 
 
整形外科の医師はレントゲン写真を食い入るように眺めながら、独り言にしか思えない話し方をした。