盲目のお姫様からの贈り物


病院探検って言っても、
おれの病室がある三階をうろうろするだけだが。

病室から、年寄りが出てきた。

「若林君、おはよう。また、探検かい?」

「まぁ、そんな感じ。じゃあ。」

年寄りに手を振り、また歩き出す。

適当にぶらぶら歩いて、
352号室の部屋を通りかかった時に、声をかけられた。

「ねぇ、そこに居るあなた。
物語、読んでくれない?」


そこに座って居た女はまるで、

美しい、お姫様
のようだった。