「俺は、松尾と変な噂があるし、お前はそれを気にしてたろ?」
 あたしは、陸斗が莉実と付き合っていると言う噂の事を、思い出した。
 あたしが、うなずくと陸斗は、ゆっくり話し出した。
「あの噂の事は、俺もよく分からないんだ…実際、俺は、誰とも付き合ってないし。ただ、今の俺が愛羅に言えることは、1つしかないから…」

 陸斗が、言葉を切ったころに、あたしは涙がこみ上げてくることに、気が付いた。

「1回しか言わない…」

 そう言って、あたしの耳元で、こう言った。


「愛羅、好きだ…世界中でただ1人…」

 あたしが、一番言って欲しかった言葉。
 初めて会った時から、言って欲しかった言葉。
 

「あたしも、世界で1番好き…」

 あたしは、ずっと伝えたかった言葉を、陸斗に伝えた…