消しゴムを貰う時に触れた感触。お互いの指先が、ちょこんと触れてくすぐったい。
「ありがとー…」
「どういたしまして」
小さな声が、喉の奥で震えた。たった一言なのに、どうしてか上手く言えなくて。
目頭は、かーって熱いし、梶くんの顔もちゃんと真正面から見れなくて、視線を横へそらす。
今日の私はおかしいな…。熱でもあるのかも。
いつもと違う自分に若干の違和感を残して、何事もなかったように椅子に座る。
誰も喋らない教室のせいかもしれない。寒くなった冬の季節のせいかもしれない。
梶くんと、はじめて喋ったせいかもしれない。
考える理由はたくさん浮かんだけど、どれも正解じゃないかも。
熱を今でも持った指先ばっかり気になって、私ってば変な子。