ごくり、と音がわかるほど唾を飲み込む。


体育館の中へ辿り着いた途端、心ちゃんは待ってました、と言わんばかりに、私が口を挟む隙もなく言葉をあやかじめ、ノートに書いてたようにつらつらと言い出した。



「なるほどー。ふむふむ。ちーちゃんも恋しちゃったのか。その様子だと相手は──…」

「何話してるの?」



心ちゃんが私のすきな人。


つまり梶くん、かもしれない名前を出しそうになったと同じタイミングで、後ろから聞き覚えのある声が、私も会話に入れてよ、と言う風に間へ入ってきた。


沙耶佳ちゃんの声が、ざわつく体育館の中で、やけに大きく聞こえる。


心臓が、思ってもみないほど大きく跳ねて、つい心ちゃんと視線が合う。


塞がれた言葉の続きは、心ちゃんの中に閉じ込まれて。


さっきまで話しの中心だった、沙耶佳ちゃんが目の前にいる。


止まった会話は、誰が見ても不自然だ。