恋ってよくわかんない。すきってどんな気持ちなんだろう。


"人を好すきになったら、意味もなく涙が出るほど苦しい"って聞くけど、私も誰かをすきになったら涙が出るくらいの恋をするのかな?


楽しいだけが恋じゃないのかなー?



そんなふわふわした気持ちが浮かぶ英語の授業中。


一年二組の教室。落書きだらけのノート。


静かな教室に響くのは、落ち着いた先生の声と黒板に走るチョークの音。


唇をシャーペンで二、三回突いて、ちらっと向けるのは隣の席に座る梶くん。


十二月からの新しい席で隣になった、梶千早(カジ チハヤ)くん。


私、都倉千夏(トクラ チナツ)一六歳の瞳に映る梶くんの姿は、やっぱり不思議一色の色。


だってね、英語の授業なんて誰も真面目に聞いてないし、机の下で携帯いじってる子いるのに、梶くんだけはちゃんと先生の話しを聞いてノート写してるんだもん。


それに…黒いサラサラの髪が太陽の光に反射して綺麗──