午後七時二十一分の電車。駅のホーム。


かじかんだ手がやけに冷たくて、痛い。


人混みに溢れて、電車の中に入っていく背中をずっと見つめてた。


涙で揺れる視界の奥に、その姿を何度も脳裏に熱く焼き付けて…。


大きく息を吸っても喉の奥が焼けたように熱くて、吐く息さえ震える。


群青色のマフラーを口元まで覆って、小さな唇を隠しても、隠しても、言葉が落ちそうで怖かった。


マフラーから香る匂い。ふわっと、時折感じる男の子の匂いが、こんなにも苦しくて切ないなんて、はじめて知った──…



バイバイ、梶くん。