わたしのヒーロー

家に帰るとお母さんは起きてリビングでお茶を飲んでいた。

ソファーに座ってただひたすら、
ぼーっと外を眺めていた。



「…お母さん!ただいま!」




「……あぁ…おかえりなさい…」



その一言だけだけど、すごく元気が無いのが伝わって私は黙り込んでしまった。


しばらくお互い黙り込んでて、
渚もマネして黙っている。




でも、
この沈黙を一番最初に破ったのはお母さんだった。




「渚のこと、迎えに行ってくれたのね。柚希くんのお兄さんから聞いたわ。」



「あ…うん。ちょっと行くの遅くなったけど。」



「そう。ありがとうね。ごめんね、お母さんこんなんで。渚も。ほんとにごめんね。」



「おかーしゃん、ただいま!だいじょーぶ?なぎしゃとおねーちゃんが、おかーしゃんまもるの!」



「渚、ありがとう。ごめんね。玲海も。ありがとう。ほんとにごめんなさい。」




お母さん…もういいよ…
もう、謝らないで…
大丈夫だから…玲海は大丈夫…
渚もお母さんも守って行ける…
だからっ…!


「さっきね、お父さんから電話が来たの。」


………



「慰謝料は払うし、養育費もあなたたちが20歳になるまで払い続ける。だから、明日持っていく離婚届にサインをしてださい。僕が出しに行きますから、それで最後にしましょう。……だってさ。」



……



「明日、土曜日だから学校無いわよね?最後だから玲海も渚も、お母さんと一緒にいようね…」





「もちろんだよ、お母さん。」

「うん!なぎしゃもいっしょにいる!」





お母さん…

わたしはそれ以外はお母さんに何を言っていいかわからなかった。とにかくまだ中学生のわたしには、すごくすごく不安でたまらなくて大好きなお父さんがバイバイになってほんとは今にも泣きたいくらいだった。


明日…お父さんとバイバイしたあと、みぃに会えないかな…?
みぃに会いたい、話したい…。