「じゃあ、あの2人には無理ですね」
「だろ?だから俺が作るしかないんだよ」
めんどくさい、みたいな言い方してるけど、きっと本当はそんな風に思ってないんだろうな。
「あら、健太くんじゃないの」
安田さんが野菜を手に取って見比べていたとき、後ろから元気なおばさんが声をかけてきた。
「おばちゃん!今日もパート?」
「そうなのよー、健太くんは?もしかして、彼女さんとデート?」
人が良さそうなおばちゃんは、安田さんの肩をバシバシ叩きながらあたしを見る。
「違いますよ」
安田さんよりもずっとずっと早く否定したのはあたしだった。
「そんなに否定しなくてもいいのに……おばちゃん、この子は美波ちゃん。希龍と葉太の友達だよ」
「あら、そうなの?なによ、私てっきり健太くんの彼女さんかと思ったのに。」
「俺にこんな可愛い彼女が出来るわけないでしょ?」
あははは、なんて笑ってる2人は、近所のお友達みたいで何だかおもしろかった。



