tender dragon Ⅰ


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「美波ちゃん今日何食べたい?」

「何でもいいですよ」


カフェから5分もかからないところにあるスーパーに到着したあたしと安田さんは、カゴを持って今日の夕食のことを話し合っていた。


「希龍は辛いものとトマトがダメだし、葉太はニンジンがダメだろー。美波ちゃん苦手な食べ物とかある?」

「あ、えっと……ないです…」


なんて、嘘だけど。

ほんとはキノコ類が食べられないし、ナスも魚も苦手。あたしが一番、好き嫌いが多いかもしれない。


「ほんとに?」


毎日夕食をご馳走になって帰ってるのに、今更嫌いな食べ物なんて言えないよ。

作ってもらってるのに、これ以上気を遣わせるわけには…


「あ、っと……キノコ類は苦手かなー…」

目の前にあった椎茸を手に取った安田さんを見て、あたしは慌ててこう言った。


「やっぱり苦手な食べ物あるんだ。遠慮しなくていいよ。希龍と葉太で慣れてるから」


今まで夕食にキノコ類が出てきたことはなかった。それが救いだったんだけど、これから隠し通すなんて無理だよね。