tender dragon Ⅰ


「自分達がって、つまり狂羅が潰されるからってことですか?」

「うん。希龍を潰さなかったら、黄金期は必ず来る。狂羅はそれを阻止したいんだよ。希龍が本当の金龍になる前に、ね。」


希龍くんが、本物の金龍に。


「金龍には狂犬がついてるし、狂羅にとってはこれほど厄介なことはないんだと思うよ」

「あぁ、葉太が」

龍泉と関わって1週間。

やっと希龍くんが追われてた本当の理由が分かった。


「だから、美波ちゃんは自分のことだけ考えてればいいんだよ。いざとなればあの2人が守ってくれるから」

「そうみたいですね」


やっと、少しだけ肩の荷が降りた気がした。無意識の内に周りを警戒していたから。


「あ、美波ちゃんさ、ちょっと買い物に付き合ってくれない?」

「いいですけど、どこにですか?」

「すぐそこのスーパーなんだけど」