tender dragon Ⅰ


「狂羅のやつらも、希龍に可能性を感じてるからだよ。」

希龍くんの可能性…?


「狂羅はただの不良の寄せ集め。そんなやつらが急に団結して、希龍1人を狙うなんて不自然だろ?」

「そうなんですか?」

「たかが不良の寄せ集めと、本物の暴走族は違うからね。たかが数年前に復活した狂羅に、そこまでまとめられる人間はいないはずだからね。」


そんなこと言われたってあたしには分からない。まともに暴走族を見たのは狂羅が初めてだった。

龍泉の人っていったら、希龍くんと葉太と春斗しか見たことないんだもん。

違いなんて、分からない。


「でも、その狂羅が希龍1人を潰すためにあれだけ動いてたんだ。何でか分かる?」

「…分かりません」


分からないことだらけで、頭が痛くなってきた。あたしには無縁だと思ってた話が、こんなに凄い話だったなんて知らなかった。

あたしのイメージの暴走族と、本物の暴走族は全く違う。


「あいつを潰さないと、間違いなく自分達が潰されるから。」