助けを呼ぶことすらできない。

そんな状況で、あたしはどうすればいいの?


どうにかしてこのナンパ男の動きを止められないだろうかと、足に力を入れて踏ん張ってみるけど、全く意味がない。

止まる気配はないし、それどころか段々ホテルに近づいている。


この男に好きなようにされて、自分は汚れた人間だ、なんて思いながら生きていくの?

そんなの…


「ヤダっ!」


―コツン…


あたしの声だけが響く路地裏に、小さく聞こえた足音。

それは、コツン、コツンと近づいてくる。

あたしの隣にいるこのナンパ男は気づいてないみたいだけど、確かに後ろから聞こえた。


期待と不安が混ざり合う。