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「はぁっ……っ…は」

「ごめん美波…!もう少し頑張って…!」


さっきから走って走って、精一杯逃げてるのに、バイクの賑やかな爆音は鳴り止まない。

それどころか、近づいてきてる気さえする。


「くそっ…何で…」

あたしを狙ってる。それはこの蒼空くんの様子を見ればすぐに分かった。


「蒼空くんっ…」

「美波、こっち…!」

蒼空くんはあたしを近くにある建物へ引っ張る。そこは誰も寄り付かない、ボロボロの図書館で。

隠れるにはちょうどいいけど、見つかったら終わりだ。こんなところ、誰も助けに来ない。


「美波っ、あの日希龍が女といたのは、別れ話をしてたからなんだ。」

図書館のドアについてる鍵を乱暴に壊しながらそう言った。


「え…?」

急に言われたから頭がついていかなくて、言われたことを理解するのに時間がかかった。

「葉太から聞いただろ?希龍に彼女がいっぱいいるのは、あいつが断りきれない性格だからだって。」


―ガシャン。

と音がなって鍵が外れると、そのドアを開けて中に入っていく。

確かにその話は葉太から聞いた。