別れて帰るのはきっと、あたしといると芽衣と遼太くんまで危ない目に合うから。

「蒼空、気を付けろよ」

「…あぁ、分かってる」

遼太くんは芽衣を乗せて、あたしたちとは逆の方向に進んだ。


「…ごめん美波、逃げれる自信ねぇわ。」

珍しく弱気な蒼空くん。

その表情にいつもの自信はなかった。


「…うん、分かった…」

あたしだって、そんな自信ない。

だって寧ろ、捕まることを考えてしまってる。


「でも、あたしは蒼空くんについていくよ」

「…そ、じゃあ、精一杯守る。」

なんて言って笑って、自転車を進ませた。


ほら、似てるよ。

ピンチなのに、笑ってるんだもん。

どうしてなんだろう。

蒼空くんが何してたって、そこに希龍くんの面影を見つけ出してしまう。


そんなの、ダメなのに。

忘れなきゃならないのに。

頭ではそんなことを考えるのに、こういう状況になったとき一番に思い浮かぶのはやっぱり、希龍くんの顔だった。