「どこにいるの?」
誰も、答えてくれない。
どうして?
「…こっち」
唯一、希龍くんが答える。
「お前らもう帰れ」
「でもっ…」
「いいから。」
葉太が龍泉の人たちにそう言うと、みんな納得しないような顔で病院を出ていく。
残ったのは、希龍くんと葉太とあたしと、芽衣と遼太くんと蒼空くんだけだった。
希龍くんは黙ったまま、奥に進む。
病室をどんどん通りすぎる。
呼吸が乱れる。
こんなに奥に、春斗はいるの?
足取りのおぼつかないあたしを支えたのは芽衣だった。
「ここだよ…」
「え…?」
【ICU(集中治療室)】
そう書かれたプレート。
ガラス張りになったその奥に、春斗はいた。