無力な自分を痛感する。
強い人間になんてなれない。なれるわけない。
―ブーッ、ブーッ…
手の中の携帯が震える。
「もしもし…っ」
誰からの着信かも確認せずに出た。
『美波…?』
電話の向こうから聞こえるのは、弱々しい芽衣の声。数時間前に聞いたのとは全然違う。
「どうしたの…?」
自分でも分かるくらいに、声が震えていた。
まるで、返ってくる返事が分かっているかのように。
『総合大学病院まで来て…っ』
その言葉のあとすぐに、電話は切れた。
総合大学病院…?
どうして?
「何て言ってた?」
「…総合大学病院まで、来てって……」
立ち上がれないあたしの手を引っ張る蒼空くんの手も、微かに震えていた。
息がしずらい。
怖いよ。
そこには、何が待ってるの?
ねぇ、誰か教えてよ。
何が起きたの?
どうして、春斗は連絡してくれないの?