tender dragon Ⅰ


「なー蒼空、お前暇だろ?」

コクリと頷いて、立ち上がった。

髪が黒い希龍くんみたいだなぁ…


「行こ、美波」

「あっ、うん。じゃあね、芽衣と遼太くん」

笑顔で手を振る2人はきっと誰が見たってお似合いのカップル。


「さくら公園?」

「うん、そうだけど…ほんとに暇だったの?」

「暇じゃなかったら来ないよ」

見た目は希龍くんによく似てるのに、やっぱり喋り方や雰囲気は全然違う。

中学生には見えない。

「そっか、そうだよね」


3人共、顔は似てるのに中身は全く違う。

芽衣に希龍くんのようなのんびりした雰囲気はないし、希龍くんにも芽衣のような元気な雰囲気はない。

蒼空くんにも、芽衣のような賑やかな雰囲気も、希龍くんのようなのんびりした雰囲気もない。

蒼空くんの大人っぽい落ち着いた雰囲気も、2人にはない。

3人がそれぞれ自由人なわけだ。


「希龍と喧嘩したの?」

「え?」

急に口を開いたかと思えば、蒼空くんの口からは希龍くんの話が出てきていた。