「なー蒼空、お前暇だろ?」
コクリと頷いて、立ち上がった。
髪が黒い希龍くんみたいだなぁ…
「行こ、美波」
「あっ、うん。じゃあね、芽衣と遼太くん」
笑顔で手を振る2人はきっと誰が見たってお似合いのカップル。
「さくら公園?」
「うん、そうだけど…ほんとに暇だったの?」
「暇じゃなかったら来ないよ」
見た目は希龍くんによく似てるのに、やっぱり喋り方や雰囲気は全然違う。
中学生には見えない。
「そっか、そうだよね」
3人共、顔は似てるのに中身は全く違う。
芽衣に希龍くんのようなのんびりした雰囲気はないし、希龍くんにも芽衣のような元気な雰囲気はない。
蒼空くんにも、芽衣のような賑やかな雰囲気も、希龍くんのようなのんびりした雰囲気もない。
蒼空くんの大人っぽい落ち着いた雰囲気も、2人にはない。
3人がそれぞれ自由人なわけだ。
「希龍と喧嘩したの?」
「え?」
急に口を開いたかと思えば、蒼空くんの口からは希龍くんの話が出てきていた。



