tender dragon Ⅰ


「芽衣っ!」

目立ってることなんてお構いなしに駆け寄ってくる遼太くん。自覚がないのか慣れてるからなのか分からない。


「迎えに来なくてよかったのに」

「いつものことだろ?」

「門まで来たら目立つじゃん!」

「あれ、俺目立ってる?」

「目立ってるよ、もう…」

「いいじゃん、見せつけてやれば?芽衣の彼氏は俺なんだって」

遼太くんが言う通り、注目しているのは女の子だけじゃなくて。

悔しそうに見てる男子もいる。


「そんなことしなくてもいいの!早く帰ろ!」

きっと恥ずかしいんだろうなぁ。

本気で言ってないことくらい、芽衣の顔を見ればすぐに分かった。きっと遼太くんも。


「あ、美波はさくら公園だっけ?」

「うん」

「一緒に行くよ」

「いいよ。2人の時間を邪魔するわけにはいかないし、あたし1人でも行けるから大丈夫!」

からかうようにそう言うと、芽衣はやっぱり少しだけ照れて、下を向く。

そして芽衣の代わりに遼太くんが


「あ、じゃあ蒼空と一緒に行けば?」

「蒼空くんと?」

蒼空くんを指差す。