「あ、ちょうど葉太さん1人みたいっすよ」

安田さんの家の駐輪場には、確かに葉太のバイクしかない。


「俺、帰るんで。美波さんはさっき言ったように、自分の思ったこと、ちゃんと伝えるんですよ?」

「…うん。あ、ダメだったら電話していい…?」

「はい」


大丈夫。たった1週間、ぎこちない態度をとってしまっただけで怒るような人間じゃないはず!

これからも仲良くしたいの。

葉太とはずっと友達でいたいの!

だから、あたし頑張る!


「じゃあね、春斗」

「はい、失礼します!」

笑顔の春斗を見届けて、階段をゆっくりと上る。緊張してきた。どうしよう、胃がキリキリする。


―ガチャ…

ドアを開ける前、ふかーく深呼吸をした。


「おー、おかえり」

いざ声をかけられると、やっぱり固まってしまって、もう葉太の顔を見れないくらい緊張してる。

「た、だいま!」