シャワーから出る温かいお湯が、冷えたあたしの体を温めていく。
それなのに、心は冷えたまま。
どうして女の子といたんだろう、とか。やっぱり好きになるんじゃなかった、とか。頭の中をグルグル回る。
離れない。
このお湯と一緒に、希龍くんと一緒にいたときの記憶も流れていってしまえばいいのに。
恋愛は自由だ、と芽衣は言った。
その通り、想うのは自由。
だけど、報われるとは限らない。
ワガママかな?
希龍くんには彼女がいっぱいいることも知ってるのに、一番になりたいと願ってしまう。
そんなの、無理なのに。
自分の目で見るまで信じてなかったのかもしれない。だって、希龍くんはあんなに優しいんだもん。
自分の目で改めて、希龍くんが女の子と一緒にいるのを見て、本当のことなんだと思った。
……諦めなくちゃならないんだよね…
お風呂からあがると、ソファに座ってる葉太の後ろ姿が見えた。あたしがいるのに気づくと、振り返って笑う。



