目が離せないのは、希龍くんに見とれてるから、とかじゃない。
あぁ、見るんじゃなかった。
どうしてだろう。
言ってたことと違う。
……………どうして、女の子といるの…?
「美波ー、帰ろうぜ」
キーをクルクル回しながら歩いてきた葉太が、あたしを見てピタリと止まる。
ガラスの奥を見てるあたしの目は、葉太を見ない。
希龍くんが、ふとこっちを向く。
「………葉太、帰ろう…」
向かい側にいた女の子もあたしを見た。
驚いて立ち上がる希龍くんから目を反らす。
「あぁ…」
特別な子なの?
外では会わないって言ってたもんね。
狂羅のことを考えた上で、その危険を考えた上で会ってるんだもんね。
そこまでして会いたい子なんでしょ?
そんなに大切な子がいるなら、あたしがどう頑張ったってダメだよね。
好きでいたって、ダメだよね。



