tender dragon Ⅰ


目が離せないのは、希龍くんに見とれてるから、とかじゃない。

あぁ、見るんじゃなかった。

どうしてだろう。

言ってたことと違う。


……………どうして、女の子といるの…?


「美波ー、帰ろうぜ」

キーをクルクル回しながら歩いてきた葉太が、あたしを見てピタリと止まる。

ガラスの奥を見てるあたしの目は、葉太を見ない。

希龍くんが、ふとこっちを向く。


「………葉太、帰ろう…」

向かい側にいた女の子もあたしを見た。

驚いて立ち上がる希龍くんから目を反らす。

「あぁ…」


特別な子なの?

外では会わないって言ってたもんね。

狂羅のことを考えた上で、その危険を考えた上で会ってるんだもんね。

そこまでして会いたい子なんでしょ?

そんなに大切な子がいるなら、あたしがどう頑張ったってダメだよね。

好きでいたって、ダメだよね。