tender dragon Ⅰ


少し暗くてレトロな雰囲気のこのカフェには、あたしも何度か来たことがある。

あたしが来たときは、女子高生がたくさん。

男子高校生なんてほとんどいない。

そんな中に希龍くん、1人で?


1人、だよね…?

だって、危ないから彼女とは外で会わないって言ってたし。

何人いるか分からない彼女と、外であったりしないよね?


少しだけ、心臓が高く波打った。

もし…

もしも、女の子といたらどうしよう。

さっきまで葉太に助けてもらって嬉しかったのに、気分は一気に下がってしまって。

「まさか、ね…」

ずっとずっと奥の方。

目を凝らしてガラスの奥を見てみれば


………いた。


キャラメル色の葉太の髪がチラリと見える。

そしてその奥に、いる。

葉太と同じ学生服を着た、希龍くんが。