少し暗くてレトロな雰囲気のこのカフェには、あたしも何度か来たことがある。
あたしが来たときは、女子高生がたくさん。
男子高校生なんてほとんどいない。
そんな中に希龍くん、1人で?
1人、だよね…?
だって、危ないから彼女とは外で会わないって言ってたし。
何人いるか分からない彼女と、外であったりしないよね?
少しだけ、心臓が高く波打った。
もし…
もしも、女の子といたらどうしよう。
さっきまで葉太に助けてもらって嬉しかったのに、気分は一気に下がってしまって。
「まさか、ね…」
ずっとずっと奥の方。
目を凝らしてガラスの奥を見てみれば
………いた。
キャラメル色の葉太の髪がチラリと見える。
そしてその奥に、いる。
葉太と同じ学生服を着た、希龍くんが。



