高校に入学して、すぐに今の自分を作らざるを得なくなった。作らなければ、1人になるのが分かってたから。
首にぐるぐる巻いたマフラーに顔を埋めながら、ブレザーのポケットに手を入れて歩く。
賑やかな夜の町には、スーツを着たホストやドレスを着たホステス。明るい髪色をした不良がたくさんいた。
あたしには無縁な世界。
ここは、こんな時間に高校生が歩いていいような場所じゃない。
何となくいるだけでもヤバイ気がして、ビルとビルの間の道を曲がった。
表とは違い、暗くてジメジメした空気が漂っている。
トントン、と肩に何かが触れた。
人のいないその道で、後ろから肩を叩かれた。
こんな道でそんなことするやつは、99%の確率でヤバイやつだと思う。だから今あたしは振り向きたくない。
足を止めなかった。
ひたすら気づいてないフリ。