「みーなみー!」
後ろから聞こえた元気な声。
高くて、女の子らしい芽衣の声。
「あ、遼太」
隣で葉太が呟いた。
遼太ってたしか…
自転車に二人で乗ってる、芽衣と遼太くん。
「はいっ、カバン持ってきたよ」
「ありがと」
あたしが受け取ろうとしたカバンを、葉太は当たり前みたいに芽衣から受けとる。
「何で遼太がいんの?」
前に乗ってるこの男の子が遼太くん。
どこか春斗に似てるところがあった。
遼太くんはたしか、歴代副総長の息子さん。
「芽衣が帰るって言うからさー、迎えに来た!」
「あたしはいいって言ったんだけどね」
人懐っこそうな感じの、小柄な男の子だった。
「あ、もしかして美波?」
「え?」
「芽衣がいつも美波、美波ってうるさいから、覚えちゃってさ。」
「言わなくていーの」



