「これからどこ行くの?」
「安田の家、そのままじゃ風邪引くだろ」
ここから安田さんの家まで、結構距離があるのに歩いていくと言う。
あたしは別にいいけど。
葉太みたいに有名な人が、あたしみたいな普通の女子高生と手を繋いで歩いてるとこなんか見られたら大変だよね。
「…希龍、駅の近くのカフェにいるってさ。バイク取りに行くから、とりあえず先にそっちな。」
携帯の画面を見つめながらそう言った。きっと、希龍くんからメールがあったんだろう。
駅の近くのカフェ?
1人でいるのかな。
そう遠くないその場所は、あたしも何度か行ったことがある場所だった。
「1人でカフェにいるの?」
「知らねぇよ、希龍のことだし」
確かに、希龍くんのことだから分からない。1人でいるのかもしれないし…
…もしかしたら、彼女といるかもしれない。
ずっと前、彼女とは外で会わないって言ってたから、違うと思うけど……



