でも、いつも学校で見る芽衣の姿じゃなかった。眼鏡を外して、前髪も上げてる。
これじゃ、きっと希龍くんの双子の姉だってバレてしまう。それくらい、顔立ちがよく似ていた。
「俺らが誰と関わろうと、お前らには関係ねぇ。美波に手出すってことは、俺らに喧嘩売ってんのと同じことだからな」
いつもより低い声で、加奈たちを睨み付けながらそう言う。
あたしだけ、よく分からない。
どうして葉太が?
「あたしは…!」
「次はねぇぞ。」
「えっ?」
「龍泉敵に回したくなかったら、今後一切美波に関わるな。」
強ばる加奈の顔。
今にも泣き出しそうなのを見て分かる。葉太が本気で怒ってるんだってことが。
「芽衣、美波のカバン」
「あとで持っていくから、先に行ってて」
「おう。」



