tender dragon Ⅰ


でも、いつも学校で見る芽衣の姿じゃなかった。眼鏡を外して、前髪も上げてる。

これじゃ、きっと希龍くんの双子の姉だってバレてしまう。それくらい、顔立ちがよく似ていた。


「俺らが誰と関わろうと、お前らには関係ねぇ。美波に手出すってことは、俺らに喧嘩売ってんのと同じことだからな」


いつもより低い声で、加奈たちを睨み付けながらそう言う。

あたしだけ、よく分からない。

どうして葉太が?


「あたしは…!」

「次はねぇぞ。」

「えっ?」

「龍泉敵に回したくなかったら、今後一切美波に関わるな。」

強ばる加奈の顔。

今にも泣き出しそうなのを見て分かる。葉太が本気で怒ってるんだってことが。


「芽衣、美波のカバン」

「あとで持っていくから、先に行ってて」

「おう。」