tender dragon Ⅰ


「うそ…!」

微かに聞こえた、加奈の焦る声。

何?何があったの?

外の状況が分からないあたしには、どうして加奈が焦ってるのかなんて全く分からなかった。

芽衣の声も聞こえなくなった。


何なの…?

どうして加奈は、焦ってるの?


呆然としていると、ゆっくり開くドア。


「遅くなってごめんな。」

そういった彼は、あたしの頭を優しく撫でる。


「…葉太…?」

「助けに来た。」


開かれたドアの向こうには、西高の制服を着た葉太がいて。あたしを見て少し困ったように笑う。

ビショビショになったあたしに学ランを着させると、クルリと、加奈の方に向き直った。


「お前ら、何やってんの。」

「あっ…あたしは、ただ…」

「美波が龍泉と関わってるのが気に入らなかったんでしょ?」

その声は間違いなく芽衣のもの。