「うそ…!」
微かに聞こえた、加奈の焦る声。
何?何があったの?
外の状況が分からないあたしには、どうして加奈が焦ってるのかなんて全く分からなかった。
芽衣の声も聞こえなくなった。
何なの…?
どうして加奈は、焦ってるの?
呆然としていると、ゆっくり開くドア。
「遅くなってごめんな。」
そういった彼は、あたしの頭を優しく撫でる。
「…葉太…?」
「助けに来た。」
開かれたドアの向こうには、西高の制服を着た葉太がいて。あたしを見て少し困ったように笑う。
ビショビショになったあたしに学ランを着させると、クルリと、加奈の方に向き直った。
「お前ら、何やってんの。」
「あっ…あたしは、ただ…」
「美波が龍泉と関わってるのが気に入らなかったんでしょ?」
その声は間違いなく芽衣のもの。



