「その中、入ってよ。」
一番奥のトイレを指差した。
でも、あたしが自ら望んで入るわけないのを分かってるから、取り巻きの二人が無理矢理。
何を思い付いたのか分からないけど、表情からすればいいことじゃないことくらいすぐに分かった。
入りたくなくても1人じゃ勝てなくて。
無理矢理押し込められたそこは普段使いなれたはずの場所なのに、どこか違って見えた。
とにかく芽衣に連絡なきゃと思って、携帯を出した瞬間…
―バッシャーン!!
「きゃあ!!」
上から降ってきたのは冷たい水。
思わず落としてしまった携帯の画面は真っ黒になっていて、髪からはポタポタと水が滴り落ちる。
「何っ…?」
状況が理解できないでいると、外からは加奈の笑い声が聞こえてきて。
さっきのバケツを使ったんだと分かった。
「頭冷やしなよ。」
「何、言ってんの…」