自分で話すのは嫌だった。

自分で言わなくちゃならないことだってことは分かってるけど、どうしても言えなかった。

そんなあたしを見かねてか、芽衣は「あたしが言ってもいい?」と優しく聞いてくれて。

それに頷くしかなかった。


それでもやっぱり芽衣も迷ってるみたいで、希龍くんがあたしに事情を聞くことも、葉太が学校に怒鳴り込んでくることもないってことは、多分まだ言ってないんだと思う。

それに少しだけ、安心していた。


「っ!」

気づけばもう、加奈たちにバレて2週間も経ってしまっていた。加奈はまだ狂羅にあたしのことを言ってないみたい。

「いつになったら教えてくれんの?」

それはきっと、バラしたらヤバイことになるってことを、加奈も分かっているから。


「だから…っ、教えられない…」

「バラされたいの?」


特に今日は加奈の機嫌が悪い。

イライラしてるのがあたしから見てもすぐに分かって、取り巻きの二人もその様子に戸惑っているみたいだった。

叩かれた頬が、ジンジンと痛む。