あたしは加菜たちと、喧嘩したいわけでも絶交したいわけでもないの。

ただ、分かってほしくて。


「…知らない。」


こんなことしたって、変わらない。

自分よりも弱い人間をいじめて、自分はその人よりも上の立場にいるんだと実感し安心する。

そんなのは錯覚だ。

強い人間なんかじゃない。


「嘘つかないでよ。あんたが神岡くんのバイクに乗せてもらってたこと、知ってるんだから。」

「それは…」

「言ったよね。あたしの彼氏、狂羅の人なの。あんたこれから危ないんじゃない?あたしが言えば一発でバレるけど…」


加菜のその言葉を聞いて少し安心した。

加菜はあたしのことを狂羅の人間から聞いたわけじゃないんだ。

まだ、バレてない。


「二人の連絡先を教えてくれるなら、黙っててあげてもいいけど。」

「だから…っ、知らないんだってば…!」