「それ、俺が結衣に泣かされたときの写真。」

「泣かされたの?」

「うん、毎日泣かされてたよ。まぁそのおかげで今の俺がいるんだけどね。」

あぁやっぱり、鍛えてくれる幼なじみっていうのは結衣のことだったんだね。


「そっか…」


もう1枚は、制服を着た笑顔の結衣と、楽しそうに笑うあたしの写真。

中学に入って、一番楽しかった時期の写真。

結衣の隣だからこんなに笑顔なんだよ?


「その日記、美波が持ってて。」

「いいの?」

「うん、結衣も美波に持っててほしいはずだから。」

微笑む希龍くんはいつもと同じように優しい声であたしに話しかけてくれた。


その言葉に頷いて、日記をギュッと強く抱き締めた―…