tender dragon Ⅰ


あたしの願いなんて、叶わなかった。

救急車に乗ってから、ここに来るまで、結衣は一度も目を開けなかった。

黒い服を着た人がたくさんいて、その中には制服を着たクラスメートもいた。


「交通事故らしいね…」

「うん、怖いよねー…」


こそこそと話すクラスメート。

聞きたくない。


あたしの正面に飾ってある結衣の写真を見つめた。とても綺麗な笑顔だった。

その周りには、綺麗な花が飾られている。


涙は出なかった。

どうしてだろう。


ただ、呆然と遺影を見つめる。

それを見て、改めて実感した。

これは、"結衣のお葬式"なんだって。


「かわいそうだね…」

かわいそう?

…かわいそう、なんだ。