あたしの願いなんて、叶わなかった。
救急車に乗ってから、ここに来るまで、結衣は一度も目を開けなかった。
黒い服を着た人がたくさんいて、その中には制服を着たクラスメートもいた。
「交通事故らしいね…」
「うん、怖いよねー…」
こそこそと話すクラスメート。
聞きたくない。
あたしの正面に飾ってある結衣の写真を見つめた。とても綺麗な笑顔だった。
その周りには、綺麗な花が飾られている。
涙は出なかった。
どうしてだろう。
ただ、呆然と遺影を見つめる。
それを見て、改めて実感した。
これは、"結衣のお葬式"なんだって。
「かわいそうだね…」
かわいそう?
…かわいそう、なんだ。



