暖かかった手が、冷たくなる。
ピンク色だった頬が、唇が、色を失う。
その代わりに、全部赤くなっていく。
あぁ、ダメだよ。ダメ。
目を開けて、またあたしに笑いかけてよ。
まだ全然返せてないんだよ。
あたしばっかり助けてもらっちゃったじゃん。
「結衣ぃ…っ!」
もう話せないなんて嫌だよ。
まだ17歳だよ?
これからじゃない。
「救急車…」
周りに集まっていた人たちはいつの間にか増えている。さっきよりも、もっと。
その中には口を手で覆って、目を背けている人だっていた。
「救急車は!?」
何で来ないの。
早く来てよ、今すぐに。
早く、結衣を助けてよ。



