どうしよう。
今結衣はどこにいるんだっけ。
あたし、行かなくちゃ。
ほら、助けるって決めたじゃない。
結衣のこと、助けなきゃ。
それでも足は動こうとしない。
情けない。怖くて、震えて、動けなかった。
『みな、み……っ』
「結衣っ?どこにいるのっ?」
あたしがそう言ったのと同時くらいだった。
『「キキィィィイ!!…ドンッ!!」』
携帯の向こうと、あたしが今立っている場所で聞こえた音が、重なった。
耳をつんざくような音。
プーッ、プーッ…
結衣との電話は、その音を最後に、切れてしまった……
タイヤが擦れるような音。
何かがぶつかるような音。
無機質な携帯の音。
どの音も、あたしの心臓の動きを早めるのには十分だった。とてつもなく、不快な音。



