「暇だから、出てきちゃった。」
『そっか、じゃあ…』
ピタリと止まった結衣の声。
どうして急に喋らなくなったんだろう。
電話の向こうからは、何も聞こえない。
「結衣?」
あたしの呼び掛ける声に答えない。
そのときだった。
『っ…あ……はぁ…ぅ…』
結衣の苦しそうな声が聞こえてくる。
「っ結衣!」
何が何だか分からなくて、戸惑う。
さっきまで普通に話してたじゃない。
電話の向こうがどうなっているのか分からない。予測できない。でも、結衣が苦しんでいることに代わりはなかった。
「結衣っ、どうしたの?苦しい?大丈夫っ?」
その言葉にも反応はない。



