tender dragon Ⅰ


何の前触れもなく、その日は訪れた。

卒業する1ヶ月前。

とても寒い日だった気がする。

雪がパラパラと降っていた。


「寒いね。」

「うん、雪降ってるからねー…。」

他愛もない話をしていた。結衣はあたしが言ったことに頷いて空を見る。


「高校、受かるといいね。」

「あたしは受かるよ、だってやれば出来る子だもん。だから美波も頑張るんだよ。」


特に話し合うこともなく、当たり前のように同じ高校を受けるあたしと結衣。

結衣は何故か自信満々で、あたしに勉強を教えてくれるほどに余裕があった。

だからあたしもそれに甘えて、毎日勉強を教えてもらってた。

だけど、その日は何故かすぐに学校を出た。