tender dragon Ⅰ


たまにこうやって気にかけてくれる。

それを見たあの子たちがあたしと結衣を虐めてるんだけど、難波くんはそのことに気づいてない。

多分結衣もそのことに気づいてるんだろうけど、何も言わなかった。


「何かあったら言えよ。」

「うん、ありがとね、難波くん」

話しかけないでと言えばいいんだろうけど、何も悪くない難波くんにそんなこと言えない。


いつだって友達に囲まれてる難波くん。

どうしてよりによってあたしなんかを好きになったんだろう。

接点なんてなかったのに。


彼氏は別に欲しくない。結衣が傍にいてくれるから、寂しくも辛くもないから。

「美波、行こ。」

「うん。」


結衣がいれば、虐められたって平気な顔でいられる。これからも笑顔でやっていける、そう思ってた。