誰も助けてくれなかったのに。
机に悪口を書かれたときも、上履きを隠されたときも、無視されたときも。
みんな見て見ぬふりをしたのに。
「行くよ。」
あたしの手をとって、連れ出してくれた。
「待ちなさいよ!」
怒鳴る女の子たちの声なんかまるで聞こえてないみたいに、鼻歌を歌っている。
「あの…」
どこに行くんだろう。
これから授業だっていうのに、お構いなしにあたしを連れて歩いていく。
「チョコとアメ、どっちが好き?」
何を言ってるのか分からなかった。
チョコとアメ?
「え?」
「チョコとアメ。甘いもの嫌い?」



