「……何で連れてきたの…?」


今、あたしの心臓が激しく波打っているのは、やっぱり怖いからなんだろうか。


ここに来ることを何度も躊躇した。

いつかは来なきゃならないと思いながらも、足は重く、気分は落ちていく一方だった。


考えるだけであのときの記憶が鮮明に蘇った。

きっと、あたししか知らない。

あのとき傍にいたのはあたしだったから。


…最後を見たのは、あたしだったから。


【村上家之墓】


目の前の墓石には、そう書いてある。

ここは、あたしの親友が眠ってる場所だった。