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バイクに乗ってついた場所は、あたしの見覚えのある場所だった。

何度も行こうとして躊躇した場所。


前を歩く希龍くんの手には、綺麗な色とりどりの花束が握られている。

この場所と、希龍くんが持っている花束を見れば何をしに来たのかはすぐに分かった。


「ねぇ…、ここに連れてきたかったの…?」


不安になったのは、心当たりがあるから。


希龍くんが知ってるはずないのに、どうしてここに来たんだろう。

偶然なのか、それとも知ってるからなのか。


「…うん。ここ、知ってると思うんだけど」

あぁ、やっぱり…知られてるんだ。

あの日何があったのかも、あの子のことも。