あたしがソファで寝ると言っても、希龍くんはそれを頑なに拒否する。
この家の中で誰よりも寒いのが苦手なくせに、どうしてそんなに無理するんだろう。
「引かないって。」
「引くよ。」
「大丈夫だってば。希龍くんこそ、寒いの苦手なくせに。」
「……じゃあ一緒に寝る?」
一緒に寝る?
だなんて、そんなことを言えばあたしが引き下がると思ったんだろうけど、そういうわけにはいかない。
「いいよ、別に。」
龍泉にとって、今が大事な時期だっていうことは話を聞いていれば自然と分かった。
そんな時期にトップが風邪を引くなんて、絶対にあってはならないことでしょう。
希龍くんはパッチリした目を更にパチパチさせて、あたしを見つめていた。
そして5秒後…
「あははっ、何でそんなにドヤ顔してんのっ?」
楽しそうに笑いながらあたしの頬を摘まんだ。



