「じゃあ俺も寝よっかな。」
葉太もあくびをしながら部屋に入っていこうとして、ピタリと止まった。
「春斗に、起こしたら殺すって伝えといて。」
「んー、分かった。」
そんな会話が、あたしの隣では繰り広げられていた。内容がおかしいんだけどね。
特別面白いというわけでもないバラエティ番組を、何気なく見ていた。
その隣には希龍くんがいる。
髪の毛からポタポタと滴り落ちる雫が、希龍くんの雰囲気を大人にさせた。色っぽく見える。
水も滴るいい男、ってやつ?
…………ダメだ。意識すればするほど、変なことばっかり考えちゃう。
「何?」
ジッと見つめていたことに気づかれて、慌てて目をそらした。
昨日言われたことを思い出せ。
希龍くんはあたしなんかには興味がないんだから、目が合って慌ててそらすなんておかしいよ。
バレちゃうよ。



