tender dragon Ⅰ


「でも、何でそんなにしつこく美波さんのこと探してるんですかね?1回希龍さんといるところを見られただけなのに。」


確かに、言われてみれば不思議な点はいくつもある。

1回見かけられただけのあたしがここまで追われるなんて、普通に考えればおかしいと思うだろう。


龍泉の人間だと思われたのかもしれない。

でも、あれからもう1ヶ月も経ってるのに、いつまでもあたしだけを追うのはおかしいでしょ。

他の龍泉の人を捕まえた方が早いのは、誰が考えたって分かるはず。

見つからない人間をしつこく探すよりも、もっと簡単な方法はいくらでもあるはずなのに。


「確かに、何でだろ?」

あたしも思わず声に出してしまった。


あたし以外にも、希龍くんに関わってる女の子はたくさんいるのに。

彼女がたくさんいる希龍くんを誘きだすためにあたしを使おうと思ってるなら、それはバカなやり方だ。

他の女の子は普通に生活してるんだから、あたしよりももっと、ずっと、簡単に捕まえられる。