tender dragon Ⅰ


「面子が松村のこと見かけたって。そろそろ出てくる時期だっただろ。」

「松村って確か、希龍さんと葉太さんと同じ中学だったやつですよね?相当評判悪かったみたいっすけど。」


春斗も知ってるんだ。

やっぱり、あたしがこの手の話に疎いだけなのかも。

中学、か…そんな話、教えてくれる友達なんていなかったもんなぁ…


「その辺の不良どもを率いて厄介事を起こしてんのが、その松村だってことか。どんなやつだっけなー?」

「希龍さん覚えてないんすか?」

「興味なかったからね。顔が全然思い浮かばない。」


警察にパクられたような人の顔を忘れちゃう希龍くんが逆にすごい。

興味ない人の顔は覚えない、と。

やっぱりこの人、大物だわ。


「後で写真見せる。」

葉太は呆れ顔だけど、慣れてるように見えた。