tender dragon Ⅰ


「あ、あたしが呼んだのっ、たまには春斗も一緒にご飯食べたいなーって…思って…」

「そうなんすよ。今日親いないんで、ちょうど食うもんなかったし、助かりまーす。」

今急に言ったことなのに、春斗はあたしの話に合わせてくれた。


「ふーん。美波、今日は安田が夕飯作るって言ってたぞ。」

「そっか、ありがと…」


目を合わせられないのはあたしだけみたい。

葉太には気まずさなんて感じられなかった。


「葉太さん、部屋暑すぎっすよ。」

「バーカ俺じゃねぇよ、希龍。あいつバカみたいに暖房の温度上げて出ていきやがった。」

「あー、希龍さんっすか。」


昨日のことを覚えているようには見えない。

いつもと変わらない葉太だった。


「美波?」

名前を呼ばれて顔を上げると、葉太が不思議そうな顔であたしを見つめていた。